SNS上では「外国人に生活保護を与えるな」「不正受給だ」などの声が絶えません。実際に、2024年の参院選では外国人への生活保護停止を訴える政党が議席を伸ばしました。
しかし、専門家によれば、その多くは誤解やデマに基づいています。本記事では、外国人と生活保護をめぐる歴史と現実を整理します。
戦後から続く「外国人への保護」
- 1946年:旧生活保護法 → 困っている人は誰でも対象
- 1950年:現行法 → 「国民限定」とされ外国人は対象外
- 1954年:厚生省通知 → 外国人にも行政措置で支給開始
つまり、外国人への生活保護は戦後から行政の判断で続いているのです。
受給できる外国人はごく一部
1990年以降、対象は以下の在留資格に限定:
- 永住者(特別永住者含む)
- 定住者
- 日本人や永住者の配偶者
- 難民認定者
技能実習生や留学生は対象外。困っても支援がなく、生活困窮に直面しています。
「違法」という主張は誤解
2014年の最高裁判決:
- 「外国人は生活保護法上の受給権は持たない」
- しかし「行政の裁量で保護できる」と明記
➡️ 外国人生活保護は違法ではなく、厚労省も合法的に運用しています。
よくある誤解と現実
- ❌ 外国人は生活保護で贅沢している
✅ 月10万円前後で最低限の生活。働いた方が収入は多い - ❌ 保護目当てで来日している
✅ 多くは「働くため」に来日。保護は最終手段 - ❌ 外国人が財政を圧迫している
✅ 生活保護世帯のうち外国人はわずか2.9%
なぜ叩かれるのか?
- 経済不安で「たたきやすい外国人」に不満が集中
- SNSや政治家が「在日特権」などのデマを拡散
- 外国人も税金や社会保険料を払っているのに「利用者」の側面だけが強調される
専門家の提言
- 奥貫妃文教授:外国人にも法的に生活保護を認めるべき
- 大澤優真さん:デマや誤解による排除は危険、現場を直視すべき
まとめ
- 外国人への生活保護は戦後から続く制度運用で、違法ではない
- 対象は一部に限定され、財政への影響もごく小さい
- 誤解やデマが広がり、弱い立場の外国人がバッシングされている
外国人排除は社会の弱体化につながることを理解し、冷静に事実と数字を踏まえた議論が必要です。
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